岩槻久伊豆神社

埼玉県

岩槻久伊豆神社と越谷久伊豆神社は何が違う?

結論:岩槻久伊豆神社と越谷久伊豆神社の最大の違い

CHECK
「久伊豆(ひさいず)」という同じ社名を持つ2つの神社ですが、実は境内の雰囲気や象徴となるシンボル、そして信仰の背景には明確な違いがあります。

どちらに参拝すべきか迷っている方は、以下の比較表を参考に、ご自身の願いや好みに合う神社を選んでみてください。

比較項目 岩槻久伊豆神社
(さいたま市岩槻区)
越谷久伊豆神社
(越谷市)
鎮座地・称号 武州岩槻総鎮守
(旧岩槻城の守護神)
越谷総鎮守
(越谷総鎮守(地域の七ヶ所=七村の総鎮守とされる))
シンボル 孔雀(クジャク)
「救邪苦」として親しまれる
大藤(フジ)
樹齢200年超の天然記念物
特筆すべきご利益 厄除け・勝負運・開運 八方除け・安産・学業成就
境内の雰囲気 長い参道と深い森に囲まれた
「厳格・静寂」な空気
池や藤棚があり公園のように
「開放的・穏やか」な空気

シンボルの違い:「孔雀」の岩槻と「藤」の越谷

一番の大きな違いは、境内で目にすることができる象徴的な存在です。

岩槻久伊豆神社は、境内で本物の孔雀(クジャク)が飼育されています。これは「救邪苦(くじゃく)」=「邪気を払う救いの神」という当て字にも通じ、厄除けや勝負運の強さを象徴しています。

一方、越谷久伊豆神社は、壮大な藤棚が有名です。
春には美しい紫色の花を咲かせ、多くの参拝客を魅了します。

このように、「力強いパワーを感じたいなら岩槻」「優美な自然と歴史に癒やされたいなら越谷」という選び方がおすすめです。

1. 岩槻久伊豆神社(さいたま市岩槻区)の特徴と魅力

岩槻久伊豆神社
さいたま市岩槻区に鎮座する岩槻久伊豆神社は、広大な敷地と深い森に囲まれた、県内でも屈指のパワースポットです。

一歩足を踏み入れると空気がガラリと変わるような、凛とした気配が漂うこの神社の特徴を深掘りしていきましょう。

武州岩槻総鎮守としての歴史と由緒

岩槻久伊豆神社の創建は、今から約1,400年前(欽明天皇の時代)と伝えられています。

かつてこの地を治めた太田道灌(おおたどうかん)が岩槻城を築城した際、城の守護神として崇敬を集め、江戸時代には歴代の岩槻城主から「武州岩槻総鎮守」として大切にされてきました。

特に、城の「裏鬼門」を守る要所であったことから、現在でも厄除け・鬼門除けの力が強い神社として知られています。

最大の見どころ:救邪苦(くじゃく)と長い参道

岩槻久伊豆神社を訪れた人がまず圧倒されるのが、一の鳥居から拝殿まで続く長く美しい参道です。鬱蒼と茂る杉並木の中を進むにつれ、日常の喧騒が遠のき、心が静まっていくのを感じられるでしょう。

そして、境内のもう一つの象徴が「孔雀(クジャク)」です。

昭和初期、朝香宮殿下より下賜されたことに始まり、現在も境内で数羽の孔雀が飼育されています。孔雀は毒蛇や毒虫を食べることから、災いや邪気を払う象徴とされ、ここでは「救邪苦(くじゃく)」という当て字で、人々の苦しみを救う存在として親しまれています。

主なご利益:厄除け・勝負運

ご祭神は「大国主命(おおくにぬしのみこと)」で、縁結びや福の神としても有名ですが、岩槻久伊豆神社で特筆すべきは「ここ一番の勝負運」です。

かつて人気テレビ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」の予選会場となり、優勝者がここでの祈願後に栄冠を勝ち取ったことから、通称「クイズ神社」とも呼ばれています。そのため、受験生やスポーツ選手、起業家など、大きな挑戦を控えた人々が多く訪れます。

2. 越谷久伊豆神社(越谷市)の特徴と魅力

越谷久伊豆神社
越谷市に鎮座する越谷久伊豆神社は、元荒川のほとりに位置し、豊かな水と緑に恵まれた神社です。

岩槻の神社が「静寂の森」なら、こちらは四季折々の自然を楽しめる「憩いの杜」といった明るく開放的な雰囲気が特徴です。

越谷総鎮守としての歴史と地域信仰

創建時期は不詳であるものの、平安中期以降には創建されていたものと伝えられ、古くから「越谷総鎮守」として、越谷だけでなく旧武蔵国(現在の埼玉・東京・神奈川の一部)の広い範囲を守護してきました。

また、徳川将軍家とも深い縁があります。
二代将軍秀忠、三代将軍家光も鷹狩りに際して参拝、休憩したと伝えられ、その縁から神紋(神社のマーク)には、徳川家の家紋と同じ「立ち葵(たちあおい)」の使用が許されています。
歴史好きにとっても見どころの多い神社です。

最大の見どころ:樹齢200年以上の「大藤」

越谷久伊豆神社を象徴するのが、境内に広がる見事な藤棚です。

ここにある藤の木は、樹齢200年以上、枝張りは東西約20メートル・南北約30メートルにも及び、埼玉県の天然記念物に指定されています。
毎年4月下旬から5月上旬の開花時期には、薄紫色の花がシャワーのように降り注ぎ、圧巻の美しさを誇ります。

また、広大な境内には池や遊歩道も整備されており、参拝だけでなく散策スポットとしても人気です。

主なご利益:八方除け・安産・学業

こちらのご祭神も「大国主命」ですが、正確には「大国主命+言代主命(ほか配祀あり)」とされています。
特に「八方除け(はっぽうよけ)」のご利益で有名です。引っ越しや工事、旅行など、方位に関する災いを防ぎたい時に頼りになります。

また、安産祈願も行われ、妊婦さんや子供連れの参拝者が多いのも特徴です。

もちろん、岩槻と同様に「久伊豆=クイズ」の語呂合わせから、知恵を授かる「学業成就・合格祈願」の神様としても信仰されており、受験シーズンには多くの絵馬が奉納されます。

御朱印・お守りのデザイン比較

御朱印イメージ
参拝の証として人気の「御朱印」や、身につける「お守り」にも、それぞれの神社の個性が色濃く反映されています。

岩槻は「孔雀」、越谷は「藤」というシンボルがデザインのベースになっている点が大きな違いです。

岩槻久伊豆神社の御朱印・授与品

岩槻久伊豆神社の授与品は、やはりシンボルである「救邪苦(くじゃく)」をモチーフにしたものが豊富です。

特に人気なのが、羽を広げた孔雀が刺繍されたお守りや、災いを払う意味が込められた「救邪苦守」です。黒や金を使った力強いデザインが多く、男性やビジネスマンにも好まれます。

御朱印は、シンプルで墨書きが映える通常のものに加え、季節ごとのイベント(人形供養祭や夏越の大祓など)に合わせた限定御朱印も授与されています。月替わりの美しい「花手水」と連動したデザインが登場することもあり、毎月通うファンも少なくありません。

越谷久伊豆神社の御朱印・授与品

越谷久伊豆神社では、県指定天然記念物の「藤の花」をあしらった優美なデザインが特徴です。

御朱印帳には満開の藤棚が描かれており、上品な紫色は女性からの人気が絶大です。また、通常の御朱印に加え、精巧な切り絵細工が施された「切り絵御朱印」などの特別朱印が頒布されることもあり、SNS映えすると話題になります。

お守りも、藤の色である紫を基調としたものが多く、心身の健康や安産、学業成就を願う優しい色合いのものが揃っています。

アクセスと立地:2つの神社はどれくらい離れている?

方位磁石
「同じ名前だからすぐ近くにあるのでは?」と思われがちですが、岩槻久伊豆神社と越谷久伊豆神社は、直線距離にして約10kmほど離れています。

徒歩で移動できる距離ではありません。両方を巡る場合は、車での移動か、電車とバスを乗り継ぐ計画が必要です。

両社の距離関係と移動手段

2つの神社の間を移動する場合、車であれば渋滞がなければ約20〜30分程度です。

電車の場合、岩槻駅(東武アーバンパークライン)と越谷駅(東武スカイツリーライン)は直接つながっていないため、春日部駅での乗り換えが必要となり、移動には約40〜50分かかります。

間違えて到着してしまうとリカバリーに時間がかかるため、ナビ設定時には住所をしっかり確認しましょう。

岩槻久伊豆神社へのアクセス

  • 最寄り駅:東武アーバンパークライン(野田線)「岩槻駅」
  • 徒歩:駅から約15分。散歩がてら歩ける距離です。
  • 車:東北自動車道「岩槻IC」より約10分。無料駐車場完備。

越谷久伊豆神社へのアクセス

  • 最寄り駅:東武スカイツリーライン(伊勢崎線)「北越谷駅」または「越谷駅」
  • 徒歩:北越谷駅から約20〜25分。やや距離があるため、バスの利用がおすすめです。
  • バス:越谷駅東口より朝日バス「岩槻駅行き」乗車、「久伊豆神社前」下車すぐ。
  • 車:駐車場あり(神社の北側・南側)。藤の開花時期や初詣期間は大変混雑するため注意が必要です。

【カーナビ入力時の注意】
単に「久伊豆神社」と入力すると、現在地から近い方が表示されたり、埼玉県内に多数ある他の久伊豆神社(蓮田市など)が表示されたりすることがあります。「岩槻久伊豆神社」「越谷久伊豆神社」と正式名称で検索するか、住所を入力することをおすすめします。

岩槻と越谷の久伊豆神社に関するよくある質問

クエスチョンマーク
最後に、参拝者が抱きやすい疑問や、知っておくと参拝がより深まる豆知識をQ&A形式でまとめました。

Q. 両方をお参りしても大丈夫ですか?

A. はい、全く問題ありません。

「神様同士が喧嘩するのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、神道においてそのような考え方は一般的ではありません。むしろ、埼玉県内には数多くの久伊豆神社が点在しており、複数の久伊豆神社を巡る「久伊豆神社巡り」を楽しまれる方も多くいます。

岩槻と越谷、それぞれの神様にご挨拶することで、より多くのご縁やご加護をいただけるきっかけになるでしょう。

Q. 「久伊豆」という名前の由来は?

A. 実は「久伊豆」という社名は、埼玉県東部(元荒川周辺)に集中する大変珍しい名前です。

その由来には諸説ありますが、主に以下のような説が有力とされています。

  • 「食い出づ」説
    「クイイズ」という音から、作物が豊かに実り「食い出る(食いつなぐ)」ことに由来し、五穀豊穣や生活の安定を願ったという説。
  • 「出雲族」との関連
    ご祭神である大国主命(オオクニヌシ)は出雲の神様です。古代、出雲族の氏族がこの地に移り住んだ際に、故郷の神を祀ったことがルーツとも考えられています。

また、現代ではその読み方から「クイズの神様」として親しまれているのも、言葉の持つ不思議な力(言霊)による新しい信仰の形と言えるでしょう。

まとめ:目的に合わせて参拝先を選ぼう

まとめ
ここまで、同じ名前を持つ2つの「久伊豆神社」の違いについてご紹介してきました。

どちらも長い歴史を持つ素晴らしい神社ですが、境内の空気感や得意とするご利益にはそれぞれの個性があります。最後に、ご自身の目的に合わせて選びやすいようポイントを整理しました。

岩槻久伊豆神社がおすすめな人

  • 静寂な深い森の中で、心を落ち着けて厄を払いたい
  • 受験や試合、ビジネスなど、ここ一番の勝負運を授かりたい方
  • 「救邪苦(孔雀)」のパワーにあやかり、悪い流れを断ち切りたい方

越谷久伊豆神社がおすすめな人

  • 美しい藤棚や四季折々の自然に癒やされながら参拝したい方
  • 八方除けや安産祈願など、家族や生活の平穏を願いたい方
  • 公園のような開放的な雰囲気で、ゆったりとした時間を過ごしたい方

「力強さの岩槻」と「優美さの越谷」。その時の気分や願い事に合わせて、ピンときた方へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

もちろん、お時間に余裕があれば、二社を巡ってそれぞれの魅力を肌で感じてみるのも素晴らしい体験になるはずです。
ぜひ、あなたにぴったりの「久伊豆さま」を見つけてみてください。

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