新しい年を迎え、清々しい気持ちで神様や仏様に挨拶をする「初詣」。
しかし、仕事始めや帰省のタイミングなどで三が日に行けず、「初詣はいつまでに行けばいいの?」「今から行っても遅くない?」と迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
実は、初詣の期間には厳密な決まりはないものの、「松の内(まつのうち)」と呼ばれる期間が一つの目安とされています。
本記事では、初詣に行くべき具体的な時期や地域による違い、大人として知っておきたい正しい参拝マナーについて解説します。
疑問をすっきりと解消して、晴れやかな気持ちでお参りに出かけましょう。
初詣はいつまでに行くのが正解?期間の目安
「初詣は三が日(1月1日〜3日)に行くもの」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、混雑を避けるためやスケジュールの都合で、三が日にお参りできないこともあるでしょう。
実は、初詣に「いつまでに行かなければならない」という厳格な決まりはありません。
一般的には、年神様(としがみさま)がいらっしゃる期間とされる「松の内」の間にお参りするのが目安とされています。
一般的な目安は「松の内」の期間中
「松の内(まつのうち)」とは、お正月に各家庭の玄関に門松が飾られている期間のことです。
この期間中は年神様が滞在されていると考えられているため、初詣もこの期間内に行うのが望ましいとされています。
三が日を過ぎてしまっても、松の内までに参拝すれば、一般的に「初詣」として扱われますのでご安心ください。
関東と関西で異なる「松の内」の日付
注意が必要なのは、この「松の内」の期間が地域によって異なるという点です。
お住まいの地域や、参拝先の場所に合わせてスケジュールを組むとよいでしょう。
- 関東地方・東北・九州など:1月7日まで
- 関西地方を中心とする地域:1月15日まで
一般的に関東では1月7日に門松を片付けるため松の内は7日まで、関西では小正月である1月15日までを松の内とすることが多い傾向にあります。
松の内を過ぎたら?「小正月」や「節分」までを目安に
仕事や家庭の事情で、どうしても松の内の期間中に参拝できない場合もあるかと思います。
その場合は、1月15日の「小正月(こしょうがつ)」や、旧暦の元旦の前日にあたる2月上旬の「節分」までを目安にお参りするとよいでしょう。
最も大切なのは「いつ行くか」という日付よりも、「新年の感謝と挨拶を神様に伝えたい」という気持ちです。
期間を過ぎてしまったからといってご利益がなくなるわけではありませんので、落ち着いたタイミングで参拝することをおすすめします。
そもそも「初詣」とは?意味と由来
現在では新年の恒例行事として定着している初詣ですが、その起源を遡ると、現在とは少し異なる形で行われていました。
ここでは、初詣の成り立ちや、意外と知られていないお参り先の選び方について解説します。
初詣の本来の意味(恵方参り)
初詣の由来は、平安時代から行われていた「年籠り(としごもり)」という風習にあると言われています。
これは、家長がその地域の氏神様の社に、大晦日の夜から元日の朝にかけて籠り、祈願をするものでした。
やがてこの風習が、大晦日にお参りする「除夜詣(じょやもうで)」と、元旦にお参りする「元日詣(がんじつもうで)」に分かれ、現在の初詣の形へと変化していきました。
また、江戸時代には、その年の縁起の良い方角(恵方)にある社寺にお参りする「恵方参り(えほうまいり)」が庶民の間で流行しました。
現在のように、方角に関係なく有名な社寺にお参りするスタイルが一般的になったのは、鉄道網が発達した明治時代中期以降と言われています。
お寺と神社のどちらに行くべき?
「初詣は神社に行くもの」と思っている方もいるかもしれませんが、結論から言えば、神社とお寺、どちらに参拝しても問題ありません。
日本には古くから神道と仏教を調和させる「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という考え方があり、お正月には神社もお寺も同様に参拝者を受け入れてきました。
- 神社:地域の氏神様や、特定の御利益がある神様にお参りする場合
- お寺:菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)や、厄除けなどで有名なお寺にお参りする場合
大切なのは形式よりも感謝の心です。
ご自身が心地よいと感じる場所や、日頃から縁のある場所を選ぶとよいでしょう。
大人のマナーとして知っておきたい初詣の参拝作法
初詣は、一年の感謝と新たな決意を伝える場です。
神様や仏様に対して失礼のないよう、基本的な参拝作法を身につけておきましょう。
正しい作法を知ることで、より清らかな気持ちでお参りができるはずです。
鳥居のくぐり方と参道の歩き方
神社の入り口にある鳥居は、神聖な場所と人間界を区切る結界の意味があります。
鳥居をくぐる際は、まず帽子を取り、一礼をしてから足を踏み入れます。
帰りも同様に、鳥居を出てから社殿に向き直って一礼するのが丁寧な作法です。
また、参道を歩くときは中央を避けて歩くのが基本です。
参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされているためです。
手水舎(ちょうずや)での清め方
拝殿に向かう前に、手水舎で手や口を清めます。
これは「禊(みそぎ)」を簡略化した儀式であり、心身の汚れを落としてから神前に立つための重要な手順です。
- 右手で柄杓(ひしゃく)を持ち、水を汲んで左手を清めます。
- 柄杓を左手に持ち替え、右手を清めます。
- 再び柄杓を右手に持ち、左手のひらに水を受け、その水で口をすすぎます。
※柄杓に直接口をつけないよう注意しましょう。 - もう一度左手を清めます。
- 最後に柄杓を立てて、残った水で柄(持ち手部分)を洗い流し、元の場所に戻します。
※近年は感染症対策等のため、手水舎の使用方法が変更されている場合もあります。
その際は現地の案内に従ってください。
拝礼の手順(二礼二拍手一礼など)
いよいよ神前・仏前でのお参りです。
神社とお寺では作法が異なりますので注意が必要です。
【神社の場合:二礼二拍手一礼】
- お賽銭を入れ、鈴があれば鳴らします。
- 姿勢を正して深く2回お辞儀をします(二礼)。
- 胸の高さで両手を合わせ、右手を少し下にずらして2回拍手を打ちます(二拍手)。
- 手をきちんと合わせ、感謝や祈願を込めてお祈りします。
- 最後にもう一度、深く1回お辞儀をします(一礼)。
【お寺の場合:合掌】
- お賽銭を入れ、鰐口(わにぐち)があれば鳴らします。
- 胸の前で静かに手を合わせます(合掌)。お寺では拍手は打ちません。
- 合掌したまま一礼し、祈願します。
- 最後に一礼して終了します。
お賽銭やおみくじに関する知識
参拝の最後には、お賽銭を入れたり、一年の運勢を占うおみくじを引いたりすることも楽しみのひとつです。
ここでは、よくある疑問について解説します。
お賽銭の金額に決まりはある?
「5円玉は『ご縁』がある」「10円玉は『遠縁(縁が遠のく)』になる」といった語呂合わせを耳にすることがあるかもしれません。
しかし、本来お賽銭は神様や仏様への「感謝の気持ち」を表すものであり、金額の多寡でご利益が変わるということはありません。
語呂合わせを気にして無理に小銭を用意するよりも、ご自身にとって負担のない範囲で、敬意を込めてお供えするのが一番です。
また、お賽銭を入れる際は遠くから投げ入れるのではなく、賽銭箱の近くまで進み静かに滑らせるように入れるのがマナーです。
引いたおみくじは持ち帰る?結ぶ?
引いたおみくじを境内の木や「おみくじ掛け」に結ぶか、持ち帰るかについては、どちらが正解という決まりはありません。
一般的には以下のように言われることが多いです。
- 結ぶ場合:「凶」などの悪い運気が出た際、神仏との縁を結び、悪い運気を境内に留めて浄化してもらう。
- 持ち帰る場合:「大吉」などの良い運気が出た際、お守りとして持っておく。または、書かれている教訓(和歌や言葉)を指針として読み返すために持ち帰る。
たとえ凶が出たとしても、それは「今の自分へのアドバイス」です。
戒めとして持ち帰り、時折読み返すのも良いでしょう。
持ち帰ったおみくじが不要になった際は、ゴミとして捨てず、後日神社やお寺の「古札納め所」にお返しするのが丁寧です。
まとめ:初詣は感謝と新年の決意を伝える大切な行事
本記事では、初詣に行くべき期間の目安や、参拝の正しいマナーについて解説しました。
初詣は、一般的に「松の内」(関東は1月7日、関西は1月15日頃)までに行くのが目安とされていますが、事情があってこれを過ぎてしまっても問題はありません。
節分頃までに、無理のない範囲でお参りすれば大丈夫です。
最も大切なのは「いつ行くか」という形式よりも、「無事に新年を迎えられたことへの感謝」と「今年一年をどう過ごすかという決意」を神様や仏様に伝えることです。
混雑を避けて少し時期をずらしたとしても、落ち着いた心でお参りすることにこそ意味があります。
ぜひ、ご自身の都合の良いタイミングで近くの神社やお寺を訪れ、清々しい気持ちで一年のスタートを切ってください。