節分の豆と恵方巻

コラム

恵方巻きを食べる方角はなぜ毎年変わる?実は神社とも関係があった

恵方巻きを食べる方角は毎年変わる?その理由を徹底解説

恵方巻き
節分に恵方巻きを食べる習慣が全国に広まっていますが、毎年食べる方角が変わることに疑問を感じたことはありませんか?

実はこの方角の決め方には、古代中国から伝わる陰陽道の考え方と、日本の神社文化が深く関わっているのです。

この記事では、恵方巻きの方角がなぜ毎年変わるのか、その仕組みと神社との意外な関係について詳しく解説していきます。

2026年の恵方はどこ?まずは今年の方角を確認

恵方巻きを食べる前に、まずは今年の恵方を確認しておきましょう。

2026年の恵方は「南南東」

2026年の節分は2月3日(火曜日)で、恵方は「南南東」(南南東やや南)となります。
方位角では約165度で、南南東よりもわずかに南寄りの方角を指します。

ちなみに、昨年2025年の恵方は「西南西」でした。

このように、恵方は毎年異なる方角を指すのが特徴です。
では、なぜ毎年方角が変わるのでしょうか?

恵方とは何か?その意味と由来

クエスチョンマーク

恵方は「歳徳神」がいる方角

恵方(えほう)とは、その年の福徳を司る神様「歳徳神(としとくじん)」がいらっしゃる方角のことを指します。
歳徳神は陰陽道における方位神の一つで、年徳、歳神、正月さまなどとも呼ばれる美しい姫神とされています。

歳徳神の由来には諸説ありますが、一説では祇園祭で知られる牛頭天王の后・頗梨采女(はりさいじょ)であるとされています。
また、牛頭天王が須佐之男尊と習合したことから、その妃である櫛稲田姫とも同一視されることがあります。

恵方の方角を向くと縁起が良い理由

古くから、歳徳神のいる恵方の方角を向いて物事を行うと万事に吉とされてきました。
そのため、江戸時代には恵方の方角にある神社仏閣に初詣に行く「恵方詣り(恵方参り)」という習慣もありました。

現代では節分の恵方巻きを食べる風習として広く知られていますが、元々は一年を通じて縁起の良い方角として、さまざまな場面で意識されていたのです。

恵方の方角はどうやって決まる?十干による仕組み

実は恵方は4種類しかない

毎年方角が変わると聞くと複雑に思えるかもしれませんが、実は恵方は「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」の4種類しかありません。
この4つの方角が一定の法則に従って順番に巡ってくるのです。

十干(じっかん)が恵方を決める

恵方の決定には、古代中国の暦に使われていた「十干(じっかん)」という10種類の要素が関係しています。
十干とは、甲(こう・きのえ)、乙(おつ・きのと)、丙(へい・ひのえ)、丁(てい・ひのと)、戊(ぼ・つちのえ)、己(き・つちのと)、庚(こう・かのえ)、辛(しん・かのと)、壬(じん・みずのえ)、癸(き・みずのと)の10個です。

十干は陰陽五行説に基づいており、木・火・土・金・水の五行がそれぞれ陽(兄・え)と陰(弟・と)に分かれたものです。

十干と方角の対応関係

恵方は以下のように十干と対応しています。

  • 甲・己の年:東北東(寅卯の間、75度)
  • 乙・庚の年:西南西(申酉の間、255度)
  • 丙・辛の年:南南東(巳午の間、165度)
  • 丁・壬の年:北北西(亥子の間、345度)
  • 戊・癸の年:南南東(巳午の間、165度)

このルールに基づくと、西暦の下一桁の数字から恵方を知ることができます。

  • 下一桁が4または9の年:東北東
  • 下一桁が5または0の年:西南西
  • 下一桁が6または1の年:南南東
  • 下一桁が7または2の年:北北西
  • 下一桁が8または3の年:南南東

2026年は下一桁が6なので南南東(2025年は下一桁が5なので西南西)となるわけです。

なぜ「やや西」「やや南」という表現があるのか

恵方を示す際に「西南西やや西」「南南東やや南」といった表現が使われることがありますが、これは方位の表し方の違いによるものです。

一般的に方位は16方位で表示されますが、本来恵方は24方位(二十四山)で表されます。
そのため、16方位で表現しようとすると7.5度のずれが生じ、「微西」「やや左」といった表現で補正されるのです。

恵方と神社の深い関係

江戸時代まで続いた「恵方詣り」の習慣

現代では節分の恵方巻きとして知られる恵方ですが、元々は初詣の方角を決める重要な要素でした。
江戸時代までは、元日(1月1日)にその年の恵方にある社寺に参拝する「恵方詣り(恵方参り)」という習慣が広く行われていました。

この習慣は11世紀初頭まで遡ることができ、自分の居住地から見て恵方に当たる神社仏閣に参詣することで、その年の幸福を祈願していたのです。
明治以降、鉄道網が発達すると、恵方詣りの対象も郊外や遠方の有名社寺に広がっていきました。

現代に残る恵方参りの風習

現在でも各地で恵方参りは行われており、特に立春の日(2月4日頃)や旧正月(2026年は2月17日)に、その年の恵方にある神社仏閣を参拝する人々がいます。
恵方は1年を通して吉の方角とされているため、年始以外でも恵方参りをすることで幸運に恵まれると考えられています。

京都・神泉苑の「恵方社」は日本で唯一の可動式社殿

京都・神泉苑

毎年方角を変える珍しい神社

京都の二条城南側にある神泉苑(しんせんえん)には、日本で唯一、毎年方角を変える「恵方社(えほうしゃ)」があります。
この恵方社には歳徳神が祀られており、円形の基壇の上に置かれた小さな祠が特徴です。

大晦日に行われる「恵方廻し」の儀式

神泉苑では毎年12月31日の大晦日、夜22時30分から「恵方廻し(方違え式)」という儀式が行われます。
この儀式では、僧侶や保存会の方々が恵方社の祠を新しい年の恵方の方角に向けて物理的に回転させるという、他では見られない独特な儀式が執り行われます。

祠の下に回転台があるわけではなく、人の力で引きずって回すという素朴な方法が、かえって神秘的な雰囲気を醸し出しています。
儀式では般若心経が唱えられ、新しい年の福を願います。

神泉苑の歴史と恵方社

神泉苑は平安京遷都(794年)とほぼ同時期に造営された天皇のための禁苑(庭園)で、現在は東寺真言宗の寺院となっています。
明治22年に奉納された絵馬には、当時の境内南西に恵方社があったことが記されており、長い歴史を持つことがわかります。

恵方社では新しい歳徳神の御札が授与されるほか、恵方社に関する御朱印も頂くことができます。
御朱印には毎年変わる恵方の方角が記されており、コレクターにも人気です。

恵方巻きの正しい食べ方

恵方の意味や神社との関係を理解したところで、恵方巻きの正しい食べ方についても確認しておきましょう。

基本の3つのルール

  1. その年の恵方を向いて食べる:歳徳神のいる方角を向くことで、願いが届きやすくなるとされています
  2. 無言で食べる:しゃべると運が逃げてしまうとされているため、願い事を心の中で念じながら黙々と食べます
  3. 一本を丸ごと食べる:恵方巻きは「福を巻き込んでいる」食べ物のため、包丁で切ることは「縁を切る」「福が途切れる」ことにつながるとされます

恵方巻きの具材に込められた意味

恵方巻きには一般的に七福神にちなんで7種類の具材を入れるとされています。代表的な具材とその意味は以下の通りです。

  • かんぴょう:長い形から「長寿」や「健康」を願う
  • しいたけ:傘が開いた形が陣笠に似ていることから「厄除け」や「身を守る」
  • 卵焼き:黄金色が「金運」を象徴し、「財産」や「繁栄」を願う
  • きゅうり:緑色が春を連想させ「生命力」や「成長」を願う
  • うなぎ(穴子):「うなぎのぼり」から「出世」や「上昇」を願う
  • えび:腰が曲がった姿から「長寿」を願う
  • 桜でんぶ:ピンク色が「めでたい」ことの象徴

近年では海鮮や肉など、様々な具材を使った恵方巻きも登場していますが、7種類という数字に込められた縁起の良さは変わりません。

スマホで簡単に恵方を確認する方法

スマホ
恵方を向いて恵方巻きを食べたいけれど、今いる場所でどの方向が恵方かわからない…そんな時はスマートフォンのコンパスアプリを使うと便利です。

iPhoneでの確認方法

iPhoneには標準で「コンパス」アプリがインストールされています。
アプリを起動し、画面に表示される方位角を確認しながら、2026年なら「165° 南」を指す方向にスマートフォンを向けます。
その方角が恵方です。

Androidでの確認方法

Androidスマートフォンには標準でコンパスアプリがインストールされていない場合があります。
Google Playから「デジタルコンパス」などの無料アプリをダウンロードして使用すると良いでしょう。
使い方はiPhoneと同様に、画面上側が向いている方角を示すので、該当する角度に合わせます。

節分の日付も毎年変わる?立春との関係

恵方が毎年変わることは理解できましたが、実は節分の日付自体も固定されていないことをご存知でしょうか。

節分は立春の前日

節分とは本来、季節の変わり目である立春、立夏、立秋、立冬の前日を指す言葉でした。
しかし、旧暦で新年の始まりを表す立春が最も重視されていたことから、立春の前日を「節分」として特別視するようになりました。

立春の日は天文学的に決まるため、年によって2月3日だったり2月4日だったりします。
そのため節分も2月2日や2月3日と変動するのです。

2026年の節分はいつ?

2026年の立春は2月4日(水曜日)のため、節分は2月3日(火曜日)となります。
国立天文台の観測では、今後100年ほどは2月2日か3日のいずれかで推移する見通しです。

まとめ:恵方巻きの方角と神社の関係

恵方巻きを持つ女の子
恵方巻きを食べる方角が毎年変わる理由は、古代中国から伝わった陰陽道の十干という考え方に基づいているためです。
恵方とは、その年の福徳を司る歳徳神がいる方角のことで、「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」の4種類しかなく、十干によって順番に巡ってきます。

また、恵方は神社とも深い関係があり、江戸時代まで続いた「恵方詣り」という初詣の習慣や、京都・神泉苑の恵方社のように毎年方角を変える珍しい社殿の存在など、日本の神社文化と密接に結びついてきたことがわかります。

2026年は南南東を向いて、願い事を心に念じながら恵方巻きを丸かじりしてみてはいかがでしょうか。
その年の福を呼び込むために、ぜひ正しい方角と食べ方で節分を楽しんでください。

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