おせち料理は高いだけ?金額相場や高級おせちの特徴を解説

おせち料理は高いだけ?金額相場や高級おせちの特徴を解説

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なぜ高い?おせち料理の価格設定には明確な理由がある

おせち料理
年末になるとデパートや通販サイトに並ぶ色鮮やかなおせち料理
しかし、2万円、3万円といった価格を見て「少し高いのでは?」「家で作るのと何が違うの?」と疑問に思う方も少なくありません。

実は、おせち料理が高額になるのには、単なる「お祝い価格」ではない、製造コストや流通における明確な理由が存在します。ここでは、その主な要因を3つの視点から解説します。

縁起物や希少価値の高い「高級食材」の使用

おせち料理には、エビ(長寿)、数の子(子孫繁栄)、黒豆(まめに働く)など、縁起が良いとされる食材がふんだんに使われています。

これらの食材は、お正月需要により年末にかけて市場価格が一気に高騰します。特に、アワビやイクラ、カニなどの海産物は原価そのものが高く、さらに「国産」や「天然」にこだわったものは仕入れ値が跳ね上がります。普段の食卓には並ばないグレードの食材を多種類集めているため、必然的に価格のベースが高くなってしまうのです。

保存性を高めつつ味を落とさない「調理の手間」

おせち料理は本来「三が日は家事を休めるように」という意味合いもあり、数日間保存ができるように作られています。そのため、単に調理するだけでなく、冷めても味が落ちないような味付けの工夫や、徹底した衛生管理が必要です。

また、数十種類もの料理を小さな重箱に隙間なく美しく詰める作業は、機械化が難しい工程です。崩れないように、かつ見栄え良く配置するには、熟練のスタッフが一品一品手作業で詰める必要があり、その膨大な人件費が価格に反映されています。

重箱や装飾など「見た目の美しさ」へのコスト

料理そのもの以外にも、おせちには多くのコストがかかっています。まずは「重箱」です。安価な紙製のものから、再利用可能なしっかりとした樹脂製や木製のものまで様々ですが、豪華さを演出するための容器代は無視できません。

さらに、料理を仕切るためのカップ、飾り葉、風呂敷、お品書きといった付属品に加え、鮮度を保ったまま自宅まで届けるためのクール便などの配送コストも価格に含まれています。「蓋を開けた瞬間の感動」を守るために、見えない部分で多くの費用がかけられているのです。

【人数・購入先別】おせち料理の金額相場

おせち料理を選ぶ際、まず基準となるのが「食べる人数」と「予算」です。サイズが大きすぎれば食べ残してしまい、小さすぎれば物足りなさを感じてしまいます。

ここでは一般的な通販や百貨店で販売されているおせちの金額相場をまとめました。
相場を知ることで、安すぎる商品への警戒や、高すぎる商品への冷静な判断ができるようになります。

少人数用(2〜3人前)の相場:1万円〜1万5,000円

夫婦二人や、小さなお子様がいる3人家族などに適したサイズです。一般的に「二段重」やコンパクトな「三段重」で構成されることが多く、品数は20〜30品目前後が目安となります。

1万円以下の商品もありますが、見栄えや食材の質をある程度重視するなら、1万2,000円前後が最も満足度が高い価格帯と言えます。このクラスでも、黒豆や数の子といった定番料理はしっかりと網羅されています。

ファミリー用(3〜4人前)の相場:1万5,000円〜2万5,000円

おせち料理の中で最も流通量が多く、選択肢が豊富なのがこのサイズです。標準的な「三段重(6.5寸)」が主流で、品数は35〜45品目ほどになります。

1万5,000円程度であれば定番食材が中心ですが、2万円を超えてくるとローストビーフやアワビなどの洋風・高級食材が含まれるケースが増えてきます。家族の好みに合わせて「和洋折衷」や「中華入り」など、バリエーションを選びやすいのもこの価格帯の特徴です。

大人数用(5人前以上)の相場:3万円〜

三世代が集まるお正月や、親戚との集まりに適した大型サイズです。「8.5寸の三段重」や「与段重」など、ボリューム満点の構成になります。

価格は3万円から、高いものでは5万円以上するものまで幅広いです。量が多いため、単調な味付けにならないよう、和洋中すべての料理が入っているなど工夫が凝らされています。見た目のインパクトが非常に強いため、お正月の席を一気に豪華にする効果があります。

百貨店・通販・コンビニによる価格の違い

同じ人数分のおせちでも、どこで買うかによって価格と特徴が異なります。

  • 百貨店(デパート)
    相場はやや高めですが、有名ホテルや老舗料亭監修の商品が多く、味とブランドへの信頼感が抜群です。贈答用としても選ばれます。
  • 通販サイト(おせち専門店)
    早期割引などの特典が充実しており、比較的リーズナブルに豪華なおせちが手に入ります。ただし、実物が見られないため口コミの確認が必須です。
  • コンビニ・スーパー
    手軽に注文でき、1万円前後の低価格帯から用意されています。最近では有名店監修のものも増え、コストパフォーマンスの良さが魅力です。

10万円超えも!高級おせちの特徴と一般的なおせちとの違い

一般的なおせちの相場が2万円前後である一方、百貨店などのカタログには5万円、10万円、中には数十万円を超える「超高級おせち」も掲載されています。

これらは単なる贅沢品というだけでなく、一般的なおせちとは「食材の出自」や「製造プロセス」が根本的に異なるケースがほとんどです。ここでは、価格差を生む具体的な違いについて解説します。

有名ホテル・老舗料亭が監修する「ブランド力」と「味の保証」

高級おせちの多くは、ミシュラン星付きの料亭や、世界的な有名ホテルが監修・製造しています。これは単に名前を貸しているだけでなく、総料理長がレシピを考案し、厳しい味のチェックをクリアしたものだけが出荷されます。

一般的なおせちが「工場のライン製造」であるのに対し、高級おせちは「職人による手仕事」の割合が非常に高いのが特徴です。出汁の引き方一つ、飾り切りの繊細さ一つとっても、プロの技術が注ぎ込まれており、お店で食べる本格的なコース料理と同等のクオリティが自宅で楽しめます。

国産・天然物にこだわった「食材のグレード」

価格の違いが最も顕著に現れるのが食材の質です。一般的なおせちでは、コストを抑えるために海外産の食材や養殖物が使われることが一般的ですが、高級おせちは「すべて国産」「天然物」にこだわります。

例えば、同じ「黒豆」でも最高級の丹波産を使用したり、ロブスターではなく国産の伊勢海老やアワビを丸ごと使用したりします。また、牛肉も「A5ランクの和牛」が使われるなど、素材そのものが持つ旨味が格段に違います。調味料に至るまで添加物を極力控えたものが多く、食への意識が高い方にも選ばれています。

解凍不要で作りたてを味わえる「生おせち(冷蔵)」の存在

通販おせちの多くは、配送や保存の観点から「冷凍」状態で届きます。冷凍技術は進化していますが、やはり解凍の手間や、食材によっては食感の変化が避けられない場合があります。

一方、高級おせちの多くは、作ってそのまま重箱に詰め、一度も凍らせずに冷蔵便で届ける「生おせち(冷蔵おせち)」です。食材の繊維が壊れないため、煮物のふっくら感や魚介のみずみずしさが圧倒的に優れています。賞味期限が短く、配送管理が難しいためコストは跳ね上がりますが、作りたての「本物の味」を求める層から熱い支持を得ています。

「高いだけ」ではない!おせちをお取り寄せするメリット

おせちを購入することは、確かにある程度の出費を伴います。

しかし、近年おせちのお取り寄せ需要が急増しているのは、その価格以上に得られるメリットが大きいと多くの人が感じているからです。

ここでは、お金を払うことで得られる「時間」や「体験」という目に見えない価値(ベネフィット)について解説します。

年末年始の買い出し・調理という「家事負担」からの解放

おせちをすべて手作りしようとすると、年末の混雑したスーパーでの買い出し、下ごしらえ、長時間の調理、そして大量の洗い物という重労働が待っています。

おせちをお取り寄せすることで、これらの負担から一気に解放されます。特に忙しい年末に、数日かけて行っていた作業がなくなるため、大掃除の仕上げや家族とゆっくりテレビを見る時間など、「自分や家族のための貴重な時間」を生み出すことができます。この「時間を買う」という感覚こそが、最大のメリットと言えるでしょう。

家庭では再現できない「プロの味」による特別感

家庭で作るおせちには「家庭の味」の良さがありますが、どうしてもマンネリ化してしまったり、味付けが濃くなってしまったりしがちです。

一方、プロが作るお取り寄せおせちは、家庭では入手困難な珍しい食材が使われていたり、テリーヌやマリネなどの洋風アレンジが施されていたりと、バリエーションが豊かです。「これには何が入っているんだろう?」「こんな味付けがあるんだね」といった新しい食の発見や感動体験は、家庭料理だけではなかなか得られないものです。

食卓が華やかになることで得られる「家族の会話」

お正月の食卓におせちの重箱があるだけで、その場がパッと華やかになります。美しく盛り付けられた料理は、まさに「目でも楽しめるご馳走」です。

普段はなかなか会話が弾まない家族でも、「この海老が大きいね」「この栗きんとん美味しいよ」といった感想を言い合うことで、自然と会話が生まれます。おせち料理はただ空腹を満たすだけでなく、家族団らんのコミュニケーションツールとしての役割も果たしてくれるのです。

失敗しないために!コスパの良いおせちを選ぶポイント

せっかく高いお金を出しておせちを買うなら、絶対に失敗したくないものです。「届いたら中身が写真と違った」「解凍が間に合わなかった」といったトラブルを避けるために、注文前に確認すべき重要なチェックポイントをご紹介します。

9月〜10月が狙い目?「早割キャンペーン」の活用

おせち商戦のスタートは年々早まっており、多くの通販サイトでは8月下旬から9月には予約受付を開始します。ここで見逃せないのが「早割」です。

早く予約するだけで、定価の10〜20%オフ、場合によっては数千円単位で安くなることがあります。人気商品は年末を待たずに完売してしまうことも多いため、9月〜10月の早い段階で予約を済ませるのが、最もコスパ良く高級おせちを手に入れる秘訣です。

「冷凍」と「冷蔵」のメリット・デメリットを理解する

おせちには大きく分けて「冷凍」と「冷蔵(生おせち)」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、ライフスタイルに合ったものを選びましょう。

  • 冷凍おせち
    賞味期限が長く、食べるタイミングを調整できるのがメリットです。最新の急速冷凍技術により味も向上しています。ただし、食べる24時間ほど前から冷蔵庫で解凍する必要があるため、解凍スペースの確保が必要です。
  • 冷蔵おせち(生おせち)
    届いてすぐに食べられ、作りたての食感を楽しめます。しかし、消費期限が元旦や1月2日までと短く、年末の冷蔵庫のスペースを大きく占領するため注意が必要です。

中身がスカスカ?口コミやサイズ(寸)の事前確認

ネット通販で最も多い失敗が「写真よりも量が少なかった(スカスカだった)」というケースです。これを防ぐためには、公式サイトの綺麗な写真だけでなく、SNSやレビューサイトで購入者が投稿した「実物の写真」や「辛口の口コミ」を確認することが重要です。

また、重箱のサイズは「寸(すん)」で表記されることが一般的です。標準的なサイズは「6.5寸(約19.5cm四方)」です。これより小さい「5寸」などは写真では大きく見えても実物はコンパクトなため、必ず「cm単位」でのサイズ表記を確認してから購入ボタンを押しましょう。

まとめ:おせち料理の価格には理由がある!予算に合わせて納得の選択を

ここまで、おせち料理の金額相場や、なぜその価格になるのかという理由について解説してきました。

おせち料理が高価なのは、縁起の良い高級食材を惜しみなく使い、保存性と美しさを両立させるために膨大な手間と職人の技術が注ぎ込まれているからです。決して「高いだけ」ではなく、その価格に見合った、あるいはそれ以上の価値が重箱の中に詰め込まれています。

おせちを購入することは、年末年始の忙しい家事時間を買い、家族と笑顔で過ごすゆとりを手に入れることでもあります。「予算」と「得られる時間・体験」のバランスを考えれば、お取り寄せおせちは非常にコストパフォーマンスの良い選択と言えるのではないでしょうか。

人気のおせちは早期に完売してしまうことも多いため、ぜひ早めのチェックをおすすめします。ご家庭の人数や好みに合った最高の一品を見つけて、ゆったりとした心豊かなお正月をお迎えください。

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ひまじネット編集部

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