お賽銭、手水、鈴、鳥居のくぐり方…神社での初詣の作法を解説

お賽銭、手水、鈴、鳥居のくぐり方…神社での初詣の作法を解説

初詣の基本マナーを押さえよう

新しい年の幕開けに、神社へ初詣に出かける人は多く、年の始まりを清らかな気持ちで迎える日本ならではの伝統行事です。ですが、ただ参拝するだけではなく、正しいマナーや作法を理解して参拝することが、より意味ある初詣に繋がります。神様への敬意を忘れず、気持ちよく新年をスタートさせましょう。

まず、初詣には神社や寺院などを参拝するという行為そのものに「感謝」と「祈願」の意味が込められています。昨年一年の無事を感謝し、今年一年の健康や安全、願いごとを祈る場であるため、神様と向き合うという心構えが大切です。

また、初詣の参拝時間には特に決まりはありませんが、多くの人が元旦から三が日にかけて訪れます。そのため混雑を避けたい場合は、早朝や夕方以降の時間帯を選ぶのも良いでしょう。地域によっては松の内(関東では1月7日、関西では1月15日)までに参拝するのが一般的とされています。

服装についても、特別なドレスコードはありませんが、清潔感のある服装を意識すると、神様への礼儀としても好印象です。寒さ対策も忘れず、動きやすく暖かい格好で参拝に臨みましょう。

初詣では鳥居をくぐるとき、手水で身を清めるとき、参拝で手を合わせるときなど、それぞれに意味と作法があります。一連の流れを知っておくことで、神様とのご縁をより深く感じることができるでしょう。

この記事では、鳥居のくぐり方から手水の作法、お賽銭の意味や鈴の鳴らし方まで、初詣における基本的なマナーをわかりやすく解説していきます。初詣が初めての方も、毎年恒例で訪れている方も、今一度マナーを確認して、新年を気持ちよく迎えましょう。

鳥居の正しいくぐり方と参道の歩き方

神社の入り口にある鳥居は、神様の領域と現世を分ける結界の役割を持っています。そのため、鳥居をくぐるときには、敬意を込めた丁寧な所作を意識することが大切です。鳥居は単なる門ではなく、これから神様のもとへお参りするという心構えを整えるための大切な通過点なのです。

まず鳥居の前に立ったら、軽く一礼をしてからくぐるのが基本のマナーです。これを「一礼入場」と呼び、神様の聖域に足を踏み入れることへの感謝と敬意を表します。鳥居を何度もくぐる場面がある場合でも、そのたびに一礼をするのが望ましいとされています。

鳥居をくぐった後の参道の歩き方にもマナーがあります。参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様の通り道とされています。一般の参拝者は、なるべく左右の端を歩くようにしましょう。中央を堂々と歩くことは失礼にあたると考えられているため、混雑時でもこの意識を忘れないことが大切です。

また、帽子をかぶっている場合は、鳥居をくぐる前や拝殿に近づく際に脱ぐのが望ましいとされています。これは神様への敬意を表す動作のひとつです。無意識に歩いてしまいがちな参道も、静かに心を落ち着けて歩くことで、神聖な空間への意識が高まります

もし複数の鳥居がある神社では、その都度一礼を忘れずに行いましょう。また、帰る際には最後の鳥居をくぐったあと、立ち止まって神社の方角に向かって一礼するのが作法です。これは「退出の礼」として、神様にお参りが終わったことを報告し、感謝の気持ちを伝える意味があります。

鳥居をくぐり、参道を歩くという一見何気ない行動も、意味を理解し心を込めることで、初詣のひとときがより意義深い時間となります。作法を意識しながら、自分なりの感謝と祈りの気持ちを大切にしましょう。

神社での手水(ちょうず)の作法を解説

神社における参拝前の大切な儀式が「手水(ちょうず)」です。手水とは、心身の穢れ(けがれ)を清めるために行う作法で、神様にお参りする前に自分自身を清浄にするという意味が込められています。形式的な行為に見えますが、正しい手順で行うことで、より気持ちよく参拝ができるようになります。

手水舎(てみずや)には柄杓(ひしゃく)と水が用意されています。まずは柄杓を右手に持ち、左手を洗います。次に柄杓を左手に持ち替えて、右手を洗いましょう。これで両手が清められます。

次に、再び柄杓を右手に持って左手に水をため、その水で口をすすぎます。このとき、柄杓に直接口をつけるのはマナー違反なので注意しましょう。口をすすいだら、もう一度左手を清めて終了です。

最後に、柄杓を立てて残った水で柄の部分を流し、柄杓を元の位置に戻すことで、次の人が気持ちよく使えるようにします。この一連の所作は、静かに落ち着いた気持ちで行うのが理想です。

近年では、新型感染症対策の観点から手水舎の使用が中止されている神社もあります。その場合は無理に行わず、心の中で「手水の作法を省略させていただきます」と静かに祈るだけでも十分です。形式よりも心のあり方が大切とされています。

手水は一見簡単に思えますが、一つひとつの動作に意味があり、神様への敬意を表す大切な儀式です。正しい作法を覚えて、初詣の際には丁寧に行うようにしましょう。そうすることで、心身ともに清らかな状態で拝殿へと向かうことができます。

鈴の鳴らし方と参拝の作法

拝殿の前に吊るされた鈴は、初詣の参拝において重要な役割を担っています。鈴を鳴らすのは「参拝の開始を神様に知らせる」ための行為であり、また、音の力で邪気を払うとも言われています。ただし、その鳴らし方にもマナーがありますので、静かに丁寧に行うことが大切です。

鈴は大きく力強く鳴らすのではなく、控えめに1~2回ほど振って音を鳴らすのが一般的です。長く鳴らし続けたり、勢いよく何度も鳴らすのは、周囲の参拝者の迷惑になったり、神聖な場にふさわしくないとされています。特に混雑時は、周囲への配慮も忘れないようにしましょう。

鈴を鳴らしたあとは、いよいよ参拝です。神社での正式な参拝方法は、「二礼二拍手一礼(にれい にはくしゅ いちれい)」という手順が基本です。この作法には神様への敬意と感謝の心が込められています。

まず、深く丁寧に2回お辞儀(礼)をします。続いて、胸の前で両手を合わせ、2回手を打ちます(拍手)。このとき、右手を少し引いて打つと、神様と人との距離を表すともいわれます。拍手のあとは、手を合わせたまま静かに祈念を込めましょう。願いごとだけでなく、昨年の無事への感謝も忘れずに。

最後に、もう一度深く一礼をして参拝を締めくくります。これが「一礼」の部分です。すべての所作は静かに丁寧に、心を込めて行うことが大切です。形式にとらわれすぎず、気持ちを込めることが何よりの礼儀とされています。

神社によっては参拝方法が異なる場合もありますが、基本的には「二礼二拍手一礼」が広く受け入れられています。初詣の場では多くの人が並んでいることもあるため、スムーズに、しかし心を込めて行うことを心がけましょう。

お賽銭の金額と入れ方に決まりはある?

初詣で神様に祈願をする際、欠かせないのがお賽銭(さいせん)です。お賽銭とは、神様への感謝の気持ちや願いを込めて納める金銭のこと。では、具体的にどのくらいの金額を入れるのが良いのか、どのように納めればよいのか迷う方も多いかもしれません。

実は、お賽銭の金額に明確な決まりはありません。大切なのは金額の大小よりも「感謝の気持ち」を込めて納めることです。ただし、縁起を担いだ金額を選ぶ方も多く、語呂合わせによって人気の金額がいくつかあります。

たとえば、「5円」は「ご縁」があるようにと願う意味で広く使われています。「11円(いい縁)」「15円(十分ご縁)」「25円(二重にご縁)」「41円(始終いい縁)」などもポジティブな意味を持つため、語呂を活かして金額を選ぶのもおすすめです。一方で、「10円(縁が遠のく)」「65円(ろくなご縁がない)」など、縁起が悪いとされる金額もあるため、気になる方は避けるとよいでしょう。

お賽銭の入れ方についてもマナーがあります。賽銭箱の前に立ったら、丁寧に手から静かにお賽銭を入れるようにしましょう。無理に遠くから投げ入れたり、大きな音を立てるのはマナー違反とされています。神様へのお供えという意味合いを忘れず、慎み深い動作を意識しましょう。

また、紙幣でも硬貨でも問題はありませんが、使い古された小銭よりも、きれいなお金を用意する方が丁寧な印象を与えます。新年の始まりに清らかな気持ちでお参りするためにも、なるべく状態の良いお金を使うのが望ましいとされています。

お賽銭はあくまで神様との対話の一環であり、金額の多さで願いが叶うわけではありません。自分の心を整え、感謝の気持ちと誠意を込めて納めることが、良い初詣につながるでしょう。

初詣でのNG行動・注意点

初詣は一年の始まりに神様へ感謝や願いを伝える大切な行事です。多くの人でにぎわう場だからこそ、周囲への配慮と神聖な空間への敬意が求められます。知らずに行ってしまうNG行動を避け、気持ちよく参拝するために、注意すべきポイントを確認しておきましょう。

まず気をつけたいのが、鳥居をくぐる際や参道を歩くときの態度です。鳥居の前で一礼をせずに通過することや、参道の中央(正中)を堂々と歩く行為は、神様の通り道を妨げるとされ、失礼にあたります。混雑しているときでも、できる限り端を歩くよう心がけましょう。

また、参拝中の私語や大声での会話もNGです。神社は神聖な場所であることを意識し、静かに心を落ち着けて行動することが基本です。特にお子様連れの場合は、周囲に迷惑をかけないよう配慮を忘れずに。

写真撮影にも注意が必要です。境内の中でも撮影が禁止されている場所があり、本殿や神職の方を無断で撮ることはマナー違反になります。撮影可否の案内がある場合は必ず従い、撮影時も他の参拝者の邪魔にならないよう気をつけましょう。

服装も意外と見落としがちです。派手すぎる格好や肌の露出が多い服装は神社にはふさわしくありません。清潔感のある落ち着いた服装を選ぶことで、場にふさわしい振る舞いが自然とできるようになります。

さらに、お賽銭を投げつけたり、賽銭箱に遠くから投げ込むのも控えましょう。これは神様への無礼な行為とされ、お金は静かに手から丁寧に納めるのが正しい作法です。人混みに紛れて勢いで行動せず、一つ一つの所作に心を込めることが大切です。

最後に、酔った状態での参拝も避けるべき行動です。心身ともに清らかな状態で神様に向き合うことが初詣の基本ですので、お正月の席でお酒を飲んだあとは、時間を置いてから参拝するのが望ましいでしょう。

神様の前では一人ひとりの行動が試されます。周囲への思いやりと、敬う心を忘れずに行動することで、自分も周りの人も気持ちよく新年を迎えることができます。正しいマナーを守って、清々しい初詣を楽しみましょう。

まとめ|正しい作法で気持ちよく新年を迎えよう

初詣は、新しい一年の始まりを清らかな心で迎えるための大切な行事です。神社における一連の作法にはそれぞれ意味があり、神様への敬意と感謝、そして新年の願いを込めた心の表れです。ただ参拝するだけでなく、作法を理解し、丁寧に行動することがより深い祈りにつながります。

まず、鳥居をくぐる際には一礼し、参道は中央を避けて歩くことで神様への礼儀を示しましょう。そして手水舎では、決められた順序で手と口を清め、心を整えてから拝殿へと向かうのが基本です。鈴を静かに鳴らし、二礼二拍手一礼の手順で参拝を行い、自身の願いや感謝を神様に届けましょう。

お賽銭の金額に明確な決まりはありませんが、気持ちを込めて丁寧に納めることが何よりも大切です。また、写真撮影や大声での会話、酔った状態での参拝などは避け、周囲への配慮を忘れずに行動することが、神聖な空間を保つうえで求められます。

初詣は一年の運気を占うとも言われる行事です。形式的なマナーを守ることはもちろんですが、最も重要なのは神様と向き合う誠実な気持ちです。手順を覚えておくことは大切ですが、それ以上に、ひとつひとつの所作に心を込めることが参拝の本質につながります。

正しい作法を意識することで、初詣が単なるイベントではなく、自分自身と向き合い、新たな気持ちで一年を始める大切な時間になります。ぜひ本記事を参考に、今年の初詣はより丁寧に、心を込めて参拝してみてください。神様との良いご縁を結び、穏やかな一年のスタートを切れるよう願っています。

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ひまじネット編集部

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